あざの治療

レーザーによるあざ治療の進歩

「あざ」とは、一般的に生まれつきの色素斑の一部を指しますが、中には出生後しばらくしてから出てくるものもあります。
私が形成外科を始めたころには、今のようなレーザーがありませんでした。
当時、あざを治す手段は主に手術でした。そのほかに、ドライアイスあるいはグラインダーで削る方法もありましたが、当時の治療では、十分に色素が取れなかったり、色素が取れても醜い痕が残ることが多いのが現状でした。すなわち、あざの治療では「色がなくなるか、痕が残るか」の究極の選択を強いられたのでした。
当時、私ども形成外科医に課せられた課題は、「手術」という限られた手段の中で、「痕」をいかに目立たせずに、美しく治療するかということでした。
この目的のために使われる手術手技は、現在でも一部のあざ治療には必要とされる専門的技術です。
1990年ごろから、レーザーがあざ治療の主役となりました。扁平母斑、太田母斑、異所性蒙古斑など一部のあざにおいては、保険適用にもなりました。レーザーが使われるようになってからは、「色がなくなるか、痕が残るか」の選択の厳しさが、以前に比べて和らいできました。
あざの状況によっては、全く痕を残さず、きれいに取れる場合もあります。
しかし、どの種類のあざがどの程度まで取れるか、どのような痕を残すかについては、ケースバイケースであり、治療をお受けになる患者さんにはレーザーの限界についても理解していただきたくことが重要であると感じています。

あざの種類と保険適用

「あざ」のうちレーザーが保険適用になるのは、

  • 扁平母斑(茶あざ)
  • 異所性蒙古斑(青あざ)
  • 太田母斑(青あざ)
  • 単純性血管腫(赤あざ)
  • いちご状血管腫、毛細血管拡張症

です。このうち、

  • 扁平母斑
  • 異所性蒙古斑
  • 太田母斑

当院にあるQ-スイッチルビーレーザーが保険適用です。

  • 単純性血管腫
  • 苺状血管腫
  • 毛細血管拡張症

当院にあるシナジーJが保険適応です。⇒詳細ページへ

  • 色素性母斑(黒あざ)

レーザーは保険適用ではありません。 手術は保険適用になります。
色素性母斑(黒あざ)に対して、レーザーが無効というわけではありません。ある程度きれいになりますし、殆ど消える場合もあります。 しかし、色素性母斑特有の問題があり、レーザーを避けるほうが好ましいと考えられる場合があります(後述いたします)。

あざの保険診療にかかる費用

保険診療(3割負担)

レーザーの場合

  • 初診料 820円
  • レーザー照射料金     約7000円
  • その他、再診料、投薬料などが必要です

手術の場合

  • 初診料  820円
  • 術前検査料 1050円
  • 手術料金(大きさによる) 約5000-13000円
  • 病理診断料  3100円
  • その他、再診料、投薬料などが必要です。
  • 植皮・皮弁形成などを行う場合は追加料金となります。

扁平母斑(茶あざ)

どのようなあざですか?

 茶色のぺたっとしたあざです。点々と散らばっている場合もあります。出生後しばらくして徐々にはっきりしてきます。一見『シミ』のように見えます。「子供なのにシミがある」と言われることもあります。色素は浅い部位にありますが、色素のもとが毛孔の中の深い部位にあるため、再発率が高いのが難点です。

どれぐらい取れますか?

 扁平母斑は、レーザーの治療結果が一定ではありません。初回はやや弱めの出力で治療を行います。この結果、きれいに取れる場合もありますが、再発する場合もあります。再発する時には、毛孔から点状に再発が始まり、最後には治療前と同じ色合いのシミになります。

再発した場合はどうしますか?

レーザーの出力を上げてもう一度治療することが可能です。しかし、出力を上げると、色は取れるものの、色が抜けすぎたり、軽い瘢痕になる可能性があります。

何回レーザーを照射しますか?

保険診療では2回の照射が適応となります。

一回の治療で再発がなく、きれいに取れれば一回で終了です。一回である程度取れたものの、少し残る場合は、2回目の治療をお勧めします。1回目の治療で元と同じぐらい再発する場合、2回目の治療には、上に述べたような注意が必要ですので、主治医とよく相談の上、治療を受けてください。

何歳ごろに治療するのが良いでしょうか?

扁平母斑のレーザー治療で再発率が少ないのは、

  1. 幼少時
  2. 形が円形や楕円 形でない
  3. 色が薄い、などとされています。

しかし、再発するか否かには個人差があり、一度は治療を受ける価値があると考えています。

レーザー後の経過はどうなりますか?

照射直後は、元のあざの茶色よりも濃くなります。10日から2週間後に、濃くなった皮膚が剥離し、色素のないきれいな肌が出てきます。周囲に若干、炎症後色素沈着が起こることもあります。この後、いったん全体に炎症後色素沈着が出る場合もありますが、3-6カ月(年齢・部位により、1年)後には、レーザーの真の結果がわかります。途中、毛孔などから扁平母斑が再発する場合もあります。

太田母斑

どのようなあざですか?

主に女性の左右どちらかの目の周り、額、ほほに広がる青黒い色素です。色素はやや深い部位にあります。幼少時から出始め、次第に濃くなります。以前はドライアイスで低温熱傷を起こさせる治療が主流でしたが、最近はQ-スイッチレーザーによる治療が主役となりました。

保険適用ですか?

当院にあるQ-スイッチルビーレーザーが保険適用です。

何回レーザーを照射しますか?

1回で取れることは少なく、3回以上の照射になるケースがほとんどです。1回ごとに色が薄くなるのがわかります。

レーザー後の経過はどのようになりますか?

初回は、皮膚表面の色素が強く反応し、かさぶたや水ぶくれができることもあります。2回目以降は表面の反応が減り、深い部位の色素が分解され、徐々に吸収されてゆきます。

どのぐらい取れますか?

レーザーの効果は高く、かなりの色が取れます。

異所性蒙古斑

どのようなあざですか?

生まれつきの青黒いあざです。手足、お腹、背中、おしりなど、あらゆる部位に出来ます。色素は太田母斑よりも深い部位にあります。いわゆる「蒙古斑」は、黄色人種の赤ちゃんの背中やお尻にふつうに見られ、年齢とともに薄くなりますが、「異所性蒙古斑」は、大人になっても薄くなりにくいのが特徴です。

保険適用ですか?

当院にあるQ-スイッチルビーレーザーが保険適用です。

レーザー後の経過はどのようになりますか?

皮膚表面のメラニンが反応して、薄いカサブタが出来ますが、2週間ぐらいで自然に取れます。異所性太田母斑の本体である深い位置のメラニンは、レーザーで分解されてゆっくり取れてゆきます。効果が感じられるまでに3カ月ほどかかります。

どのぐらい取れますか?

色が薄くなりますが、完全な消失は難しい場合もあります。

何回レーザーを照射しますか?

一回で取れることは少なく、2,3回以上の治療となります。時に、「脱色素」と言って、自然な皮膚色まで無くなってしまう現象がありますので、「やりすぎない」ことも重要になります。

何歳ごろに治療するのが良いでしょうか?

一般的に、幼少時は治療効果が高く、脱色素が出づらいとも言われていますので、早い時期のレーザー治療をお勧めしますが、自然に薄くなる蒙古斑もありますので、3歳ごろまで様子を見ることもあります。

色素性母斑

どのようなあざですか?

黒から濃い茶色のあざです。少し盛り上がっている場合や、剛毛が生えている場合もあります。

保険適用ですか?

レーザーは保険適用ではありません。手術は保険適用になります。
色素性母斑は癌ではありませんが、癌との見分けが必要な場合がありますので、レーザーを照射する前に十分な評価が必要です。手術では結果が良くないことが予測される場合、癌でないことを十分確認した上で、ルビーレーザーや炭酸ガスレーザーの照射を行うことになります。
手術のほうが治療結果が良い場合もありますので、レーザーに手段を限定せず、いろいろな方法を検討するほうが良いでしょう。

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